STORY

episode.1

「ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ」

脚本:中村亮介/絵コンテ:中村亮介/演出:中村亮介/作画監督:細居美恵子

薄暗い森の中、わずか2体のゴブリンを相手に苦戦を強いられている6人の少年少女がいた。盗賊のハルヒロ、暗黒騎士のランタ、神官のマナト、戦士のモグゾー、狩人のユメ、魔法使いのシホル。彼らには、ほんの数日前、暗闇の中で目覚めてからの記憶しかない。自分たちが、どうしてこの世界――『グリムガル』にいるのか、わけもわからないまま、彼らは見習い義勇兵として歩み始めた。ここで生きるために――。

第1話 スタッフインタビュー[ 監督・中村亮介 ]

ドキュメンタリー的な第1話。

1話では世界観を見せることに重点を置いています。グリムガルでは、自分自身が動かないと出来事も物語も起こらない。でもハルヒロたちは、自分から動いてドラマの主人公になることに、慣れていないわけですよね。それは僕ら自身に置き換えれば多分皆そうで。急にグリムガルの世界に放りこまれて、テキパキ適応できる人のほうが少ないんじゃないかな、って思います。そんなハルヒロたちのもどかしさ、じれったさに、親近感や身近さを感じてもらうのが1話のねらいです。

1話はこのような始まりなので、通常のドラマツルギーからはかなり変化球だと思います。ドキュメンタリー的と言うのかな、アニメなのに変な言い方ですけれども。なので演出としては、世界や間の奥行き、出会ったばかりの人間関係の微妙な距離感などに気を配りながら、そこに不思議な面白さがあるように努力しました。2話以降どんどん物語が展開するので、1話から引きこまれてくれた方々を、そのままハルヒロたちの旅に、一緒に連れていければと思っています。

『灰と幻想のグリムガル』は、用意された出来事のレールの上を進む物語ではなくて、特別な力も持たないハルヒロたちが、自分たち自身で考えて、自分たち自身で決めた道を歩んでいく――そんな等身大の群像劇です。ハルヒロたちの一歩一歩を追うことが、結果的に物語になっているというような。起こった出来事の一つ一つが、ハルヒロたちにとっては青春だったというような。そんなハルヒロたちのことを、いつしか見ている皆さんが応援するようになってくれれば、と願っています。