2016.02.25
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シェリーの酒場から2 スキルと特技(アーツ) |
「昔、仲間の盗賊がよく言ってた。オレには時々、敵の体に線が見える。あとはその線にそって短刀を動かすだけ。それでそいつは死んでしまうって。冗談だと思ったが、実際、そういうことは何度もあった。とんでもなくガタイのいいオークが、アイツの小さな短剣で撫でられただけで、次の瞬間、もう絶命しているんだ」
とある歴戦の戦士は記者にそう語る。
ここオルタナでは義勇兵たちは、戦士、魔法使い、盗賊といったギルドに所属し、そこで戦闘技術(スキル)や魔法を習う。これらの技術や魔法は高度に体系化されており、基本的には所定の金額を払い、定められた訓練期間を経ることで、その職業に付いた者なら誰でも習得が可能なようになっている。
しかし義勇兵の中には、希に”特技(アーツ)”と言われる独自の能力に目覚める者がいるらしい。これらはスキル・魔法と異なり、誰でも身につけられるものではなく、日々の訓練や経験のなかで自然と、いつのまにか「閃く」ものだという。当然、誰もが習得できるわけではないし、”特技(アーツ)”を身につけたものはその職業の天賦の才を持って生まれた者だということができるだろう。
しかし、「是非、その仲間に取材させてほしい」と願った記者に対し、義勇兵は次のように語った。
「残念だがもう何年も前に死んじまったよ。オレには線が見えるからって、盗賊のクセに前に出すぎたんだ……。才能だろうが天才だろうが人間だ。油断すりゃ死ぬ。アイツはそれがわかってなかった……」
(本紙記者)
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