2016.01.21
子羊たちへの義勇兵指南3 神官、戦士に頼りすぎるな

 それぞれの職業がそれぞれの役割を果たしてこそパーティは真に機能する。
 しかし、自分の役割を果たすだけで満足していては、早晩、君たちのパーティは壊滅してしまうだろう。とくに、暗黒騎士や狩人、魔法使いら攻撃役は、自分たちが「楽勝!」と思ったときこそ、我が身を振り返ってみてほしい。
 君たちが「楽勝」なのは本当に君たちが強いからか?
 単に君たちが「楽」をしているだけではないか?

 パーティの中核は戦士と神官だ。この二者がしっかりしていれば、他の者たちの戦いの間、さしたる危険を感じることもないだろう。だが、同時にこの職業に就くものはしばしば責任感が強すぎ、無理をしすぎていることが多い。他の者には楽勝に見えて、その実、戦士が過剰なまでに多くの敵を引きつけ、そして神官がなんとか彼の命を繋いでいるだけの、ギリギリの綱渡りになってしまっていることが多いのだ。

 君たちの敵はけしてバカではない。戦士の傷が神官の光魔法でたちどころに癒えていくのを見れば、まずは邪魔な癒し手から片付けようとするだろう。その時、戦士は目の前の敵で手一杯、そして他の仲間たちも攻撃に夢中になっていたらどうなるか。仲間を癒すだけで精一杯の神官はあっさりと奇襲を受けて倒され、そしてもちろん戦士もすぐに同じ道を辿る。その時になって、自分たちが崖っぷちを歩いていたことに気付いても最早遅いのだ。

 己の役割を果たすことをおぼえたら、次は他の役割の負担を軽減することを意識せよ。
 戦士が敵をさばききれないようならば、一体でも二体でも、可能な範囲で仲間が引き受けねばならない。神官が治療に専念するためには、パーティ全員がその盾となり、常に彼の安全を確保しておく意識が必要だ。戦士と神官はパーティの心強い盾だ。しかしだからこそパーティは、彼らに守られて安穏とするのでなく、その盾をどう助けるかを常に考えねばならない。

 繰り返し言う。神官と戦士が倒れた後で間違いに気付いても、その時はもう、あらゆる意味で、手遅れなのだ。

迷える子羊の導き手“コーギ”
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